山岸八郎（フジッコ）

山岸八郎（やまぎしはちろう）氏は、東証一部に上場する、昆布や煮豆などで知られるフジッコを創業した実業家（1930/5/23－2014/8/12）です。1960年に兵庫県神戸市に富士昆布（現：フジッコ）を設立し、試行錯誤する中、それまでは店先での量り売りが主流だった昆布製品をプラスチックのパック詰めで売るというアイデアが当り、スーパーマーケットの急成長と共に、業界内で全国展開を先駆けて急成長しました。そして、一代にして、昆布製品と豆製品の売上が日本一の大手食品会社を築き上げました。

目次：コンテンツ構成

• 山岸八郎の基本情報
• 山岸八郎の事業年表
• 山岸八郎の人物像
• 山岸八郎の関わった「フジッコ」

山岸八郎の基本情報

山岸八郎氏は、兵庫県姫路市出身で、1930年に生まれました。1951年に兵庫師範学校（現：神戸大学発達科学部）を卒業し、公立学校勤務などを経て、1960年に「富士昆布（現：フジッコ）」を設立しました。数ある商売の中で「昆布」を選んだのは、当時、公害や食品問題など歪みが生じ始めていた時期で、元々は教師だった八郎氏が子どもたちの健康に良い商品（日本の伝統食）として注目したほかに、大手メーカーが存在せず、参入しやすかったことがありました。

ちなみに社名については、「業界の頂点と味覚の頂上を目指す」との理想を掲げて「富士昆布」としたそうです。

山岸八郎の事業年表

山岸八郎氏は、1960年（昭和35年）に昆布加工食品の製造会社「富士昆布」を神戸市東灘区に創業しました。当初は、妻と従業員1人の3人だけの船出で、昆布（主力商品はとろろ昆布）を健康に良い食品としてアピールし、全国各地を販売で駆け回りましたが、なかなか売れませんでした。

当時、商店街で売られていた食料品のほとんどが量り売りであった中、「商売として効率が悪い、衛生面でも問題がある」と考え、よそと違う売り方はないかと何度も自問した結果、パック詰めにして売るというアイデアを思いつきました。そして、家庭で作ることが減っていた昆布の佃煮などを日持ちのするパックとして商品化し、全国に勢力を拡大し始めていたダイエーなどのスーパーへ営業をかけ、一気に全国展開を図り、消費者のニーズをつかみました。

1963年にテレビコマーシャルで広告活動を開始し、1966年には「ふじっ子」ブランドが誕生し、その後も昆布ビジネスは順調に成長していきました（創業10年で売上高10億円を突破）。一方で、昆布の生産は天候に左右されて収穫量を読めない部分があることや、1973年の第1次石油ショックで原料価格が急騰したことなどから、経営面において昆布依存体質を改め、リスク分散を図ることが必要と考え、1975年に新商品として「煮豆」に社運をかけることになりました。

1976年に無漂白・無着色・合成保存料無添加の「おまめさん」が発売され、大ヒットして急成長し、今日に続くロングセラー商品となりました。以降、昆布から豆へと広がった商品は、時代のニーズを取り込みながら、惣菜やデザート、ヨーグルトなどへと広がり、大手食品加工メーカーへと成長しました。

山岸八郎の人物像

山岸八郎氏は、創業当初から「創造一路」という考え（後に社呈）を持って、社員が3人の頃から「家業」ではなく「食品メーカー」を目指しました。その生涯は、時代のニーズに挑み、それまでにない商品を生み出すための格闘の連続でした。また、「いいものを作り、いい売り方を考えろ」とマーケティングにもこだわりました。1961年から2004年まで社長職を続け、2000年には長年の食品業界での功績から勲五等瑞宝章を受章しました。

山岸八郎の関わった「フジッコ」

山岸八郎氏が一代で築いた「フジッコ」は、現在、昆布製品や豆製品、惣菜製品、ヨーグルト、デザートなど、幅広い製品を製造する大手食品メーカーとなっています。1960年の創業以来、「おいしさと健康」を追求し続けており、商品開発だけでなく基礎研究にも重点を置き、提供する商品の健康に及ぼす効果などを科学的に裏付け、その情報まで消費者に届けることを目指しています。