清算と精算と成算の違い
日常の仕事の中で、「清算」や「精算」、「成算」という言葉を目にしたり、何気に使ったりすることがよくあります。どれも「せいさん」と読み、一文字目が「清」か「精」か「成」で違うだけですが、実際は意味が大きく異なります。特に「清算」と「精算」は似た感じがするため、間違いやすいのではないでしょうか?
一般に日本語には、意味が似ていて紛らわしい言葉が結構あり、また何となく曖昧に使っていることもよくあり、今一度確認しておくのもよいかと思います。ここでは、 同音異義語の「清算と精算と成算の違い」について、簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
清算について
「清」という漢字は、「きれいにかたづける」や「整理する」、「清める」といった意味合いを持ちます。これより、清算は、「お金の貸し借りを計算して整理し、支払いをすませること」や「法人や団体などが解散したとき、その後始末のために財産関係を整理すること」、「これまでの関係・事柄に結末をつけること」といった意味があります。
<清算の使用例>
・これまでの借金を全て清算する
・不幸な過去を清算し、新たな未来を切り開こう
・廃業する際には、会社の解散と清算の手続きが必要となる
精算について
「精」という漢字は、精巧や精密などの熟語で使われるように、「細かく詳しいこと」といった意味合いを持ちます。これより、精算は、「細かに金銭等を計算すること」や「料金や運賃などの過不足を計算しなおすこと」といった意味があります。
<精算の使用例>
・駅の改札で乗り越し運賃を精算する
・Suicaの利用履歴から自動的に交通費を精算できる
・相続時精算課税制度とは、贈与時に税金を仮払いし、相続時に精算するという制度
成算について
「成」という漢字は、「なしとげる」や「なる」、「なす」といった意味合いを持ちます。これより、成算は、「成功する見込み」や「あることを成しとげることのできる見込み」といった意味があります。
<成算の使用例>
・新規事業を軌道にのせる成算がある
・困難さや割の合わなさに対する成算があるのか
・変化に気づかぬ業者は成算なき量産を続け、大量の在庫だけが残った
清算と精算の違い
清算と精算は、話し言葉では間違いませんが、一方で書き言葉では間違えることがあり、またビジネスの現場では、混同して使われることもよくあります。
●清算
会社において、例えば、買掛金や売掛金の解消、倒産時の財産処分などの際に「清算」が使われる。また、「過去を清算する」や「関係を清算する」というように、清算は金銭以外でも使われる。
●精算
会社において、例えば、経費の精算では、交通費や出張費などの内訳を細かく記載して金額を確定させるので「精算」が使われる。
●清算書と精算書の違い
清算書が、金銭の受渡しが証明された書類などに使われるのに対して、精算書は、計算書や金額等を細かく計算する書類などに用いられる(日常的には精算書が多く、清算書は特殊なケースで非常に稀)。
まとめ:清算と精算と成算の違い
最後に「清算と精算と成算の違い」を簡単にまとめると、以下のようになります。
●清算
金銭に関係するもの以外に、様々な物事に対しても、けじめを付けたり、綺麗に整理するという意味で用いられる。
●精算
金銭面において、細かく計算して物事を確定するという意味で用いられる。
●成算
あることを成しとげることのできる見込みという意味で用いられる。