経験と体験の違い

人は生まれてから死ぬまで、生きていく中で、多くの経験や体験をしますが、そもそも経験や体験とは一体何なのでしょうか? どちらも似たような意味合いがあり、普段、何気に使っている言葉ですが、いざ説明するとなると結構難しいのではないでしょうか。

ここでは、誰にでも馴染み深い言葉である「経験」と「体験」について、その意味や用法、違いを簡単にまとめてみました。

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経験の意味と用法

経験(けいけん)は、国語辞書では、実際に見たり、聞いたり、行ったりすることや、それによって得られた知識や技能などをいいます。これは、通り過ぎる(へる)や営むなどを意味する「経(けい)」と、ためすを意味する「験(けん)」からなる用語で、日常的には、「人生経験」や「実戦経験」、「競技経験」、「業界経験」、「経験値」など複合語でもよく用いられます。

一般に経験は、日常的には、体験とほぼ同義に用いられることも多いですが、一方で哲学では、人間が感覚や内省を通じて得るもの、およびその獲得の過程とされており、また体験よりも間接的・公共的・理知的な含みを持つとされます。

体験の意味と用法

体験(たいけん)は、国語辞書では、実際に自分の身をもって経験することをいいます。これは、身につけることを意味する「体(たい)」と、ためすを意味する「験(けん)」からなる用語で、日常的には、「戦争体験」や「職業体験」、「心霊体験」、「成功体験」、「体験談」など複合語でもよく用いられます。

一般に体験は、哲学では、人間が個々に直接的に与えられる、知的な諸操作が加えられる以前の非反省的な意識内容を指すとされ、また経験が一般的・客観的であるのに対し、体験は個別的・主観的であるとされます。

経験と体験の違いについて

経験と体験は、どちらも、ためすを意味する「験(けん)」が入った用語で、日常的には同じように使われることも多いですが、一方で以下のような違いもあります。

◎経験は、日常的には幅広く用いられるのに対して、体験は、その人の行為や実地での見聞に限定して、特に印象の強い事柄に用いられることが多い。

◎経験は、何かを実践したことで得られた知識や技能も含むのに対して、体験は、実際の行為を通して感じたことを主に指す。そのため、仕事の面接や議員の選挙などでは、経験はアピールできるが、体験はアピールできない。

◎哲学では、経験が一般的・客観的であるのに対し、体験は個別的・主観的であるとされる。

◎用語の使い方では、「経験をいかす」とは言うが、「体験をいかす」とは言わない。また、「体験入学」とは言うが、「経験入学」とは言わない。

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