「違う」と「異なる」の違い

ビジネスにおいても、プライベートにおいても、ある物事と他の物事の間に差異がある場合に「違う」や「異なる」という言葉をよく使います。どちらも似たような意味の言葉で、例えば、「事実と違う」と「事実と異なる」ではニュアンスが同じですが、一方で「答えが違う」と「答えが異なる」ではニュアンスが同じではありません。

ここでは、似たような感じのする「違う」と「異なる」について、その意味や用法、違いを簡単にまとめてみました。

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「違う」の意味と用法

違う(ちがう)は、 二つの事物が一致しない、両者の間に隔たりがある、それとは別のものである、基準となるものや正しいものと一致しない状態である、一定の水準から隔たりがあるといった意味があります。これは、何かが一致しない、ある基準から外れる場合などに使われる用語で、また連用形(名詞)の「違い」もよく使われます。

<違うの用例>

・老後にいくら不足するかは人によって違う
・生まれも育ちも違うから、考え方も違うのは当然だ
・同じニュースでも、新聞によって論調が違うこともある

「異なる」の意味と用法

異なるは、二つの物の間に差があることや違いがあることをいいます。これは、 他と違っているさまや普通と違っているさまを意味する、形容動詞の「異(こと)」が動詞化したもので、通常、文章語的で、ちがうという事実を冷静に表現する場合に用いられます。

<異なるの用例>

・双子でも性格は全く異なる
・他のドライバーとは異なる戦略を採った
・商品ラインナップが異なるため競合しない

「違う」と「異なる」の違い

「違う」と「異なる」は、同じではないという意味では同様に用いられますが、一方で以下のような違いもあります。

◎「異なる」は、比べてみて同じでないことをいうだけだが、「違う」は、それ以外に、あるべきことや状態から外れること、一定の水準から隔たりがあることなどもいい、意味がいくつかある。

◎「違う」は、話し言葉などで日常的に使われる用語なのに対して、「異なる」は、文章語的であり、「違う」に比べて幾分固い表現となっている。

◎「異なる二点を通る直線の方程式」や「異なる次元を持つ物理量同士」など、数学や物理学などの理系用語では、「違う」ではなく「異なる」が使われる。

◎「答えが違う(答えが間違っている)」と「答えが異なる(答えが同じでない)」では、ニュアンスが大きく異なっており、この場合、「違う」が事の正誤を問うているのに対して、「異なる」は事の正誤を問うていない。

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