意思と意志と意向と意図と遺志の違い

誰もが毎日、何かを考え、何かを思いながら生きており、この心持ちは、意思や意志、意向、意図などと呼ばれています。どれも人が生きていく中で重要なものですが、それぞれに違いがあるのをご存知でしょうか? また、成功や失敗のカギは心にあるとよく言われており、これらの概念を理解しておくことは大切かと思います。

ここでは、人が生きていく中で大きなカギとなる、「意思」や「意志」、「意向」、「意図」、「遺志」について、その意味や用法、違いを簡単にまとめてみました。

意思の意味と用法

意思(いし)は、何かをしようとするときの元となる心持ち(思い・考え)、また法律上は、一定の法律効果を発生させようとする意欲をいいます。これは、心の中の思い、気持ち、考えを意味する「意(い)」と、細々と考える、おもいめぐらすを意味する「思(し)」からなる用語で、日常的には、思いや考えの意味に重点を置いた場合に用いられるほか、法律用語としてもよく用いられます。

<意思の用法>

・今後協議を重ねても、住民の意思は変わらない
・本人の意思を尊重し、引退を受け入れることにした
・自分の意思をしっかりと持って活動することが大切だ

意志の意味と用法

意志(いし)は、英語では「will」が該当し、目的のはっきりした考え、物事をなしとげようとする積極的なこころざしをいいます。これは、心の中の思い、気持ち、考えを意味する「意(い)」と、こころざしを意味する「志(し)」からなる用語で、日常的には、「意志を貫く」や「意志を固める」、「意志が強い」など、何かをしよう・何かをしたいという気持ちを表す場合に用いられます。

一般に意志は、心理学では、価値の感情を伴う目的動機に促され、その目的の実現によって終わる一連の心的プロセス(精神の働き)などと定義され、知性や感情に対立する精神作用の一つとされます。また、 哲学では、ある目的を実現するために、自発的で意識的な行動を生起させる内的意欲などと定義されます。

<意志の用法>

・意志あるところに道は開ける
・大切なのは本人の意志を尊重すること
・最後まで自分の意志を貫くことができた

意向の意味と用法

意向(いこう)は、どうするつもりかという考えをいいます。これは、心の中の思い、気持ち、考えを意味する「意(い)」と、心がめざすを意味する「向(こう)」からなる用語で、日常的には、人だけでなく、政府や行政機関、企業などの主体でも使われます。

<意向の用例>

・原因究明と再発防止を図る意向を表明した
・再選を目指して無所属で立候補する意向を表明した
・上司の意向に逆らうことができない企業風土が存在した

意図の意味と用法

意図(いと)は、何かをしようとすること、こうしようと考えていること、何らかの狙いをいいます。これは、心の中の思い、気持ち、考えを意味する「意(い)」と、思いはかるを意味する「図(と)」からなる用語で、日常的には、何らかの行動と関係のある狙いなどを述べる場合に使われます。また、「意図的」といった場合、何かの目的があって、わざとそうするさまをいいます。

<意図の用例>

・発言の意図については明確にしていない
・相手の意図を先読みしながら対応していく
・領空侵犯は意図したものではないと説明を受けた

遺志の意味と用法

遺志(いし)は、生前の意志や故人が果たさないで残したこころざしをいいます。これは、死後に残すを意味する「遺(い)」と、こころざしを意味する「志(し)」からなる用語で、通常、意思や意志などと異なり、生きている人に対しては使われません。

<遺志の用例>

・父の遺志を受け継ぎ、店を継いだ
・僕らが遺志を引き継いで伝えていきたい
・故人の遺志を尊重し、最後は静かに送り出した

意思と意志と意向と意図と遺志の違い

最後に「意思」と「意志」と「意向」と「意図」と「遺志」の違いをざっくりとまとめると、以下のようになります。

・意思:思いや考え
・意志:目的のはっきりした考え
・意向:どうするつもりかという考え
・意図:こうしようと考えていること
・遺志:生前の意志

◎「意思」は、思いや考えの意味に重点を置いた場合に用いられるの対して、「意志」は、何かをしよう・何かをしたいという気持ちを表す場合に用いられる。また、「意思」は、法律用語として用いられることも多い。

◎「意志」は、他の用語と異なり、心理学や哲学、倫理学の対象である。

◎「遺志」は、「意思」や「意志」などとは異なり、生きている人に対しては使われない。

◎「意思」と「意志」と「遺志」は、主に人に対して用いられるのに対して、「意向」と「意図」は、政府や行政など、人以外にも用いられる。

◎「意図」は、他の用語と異なり、「意図する」や「意図的」といった使われ方もする。

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