取引先と仕入先と販売先と得意先と顧客とクライアントの違い

ビジネスをするにあたって、仕入や販売などを日々行いますが、その際に取引先や仕入先、販売先、得意先、顧客、クライアントといった用語を普通に使っています。これらは、業界や会社などによって、どれを使うか異なり、またそれぞれニュアンスが異なりますが、一方で曖昧に使っている方も多いのではないでしょうか?

ここでは、ビジネスの基本用語である、「取引先」や「仕入先」、「販売先」、「得意先」、「顧客」、「クライアント」について、その意味や用法、違いを簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

取引先の意味と用法

取引先(とりひきさき)は、ビジネス(商売)における、取引の相手方をいいます。これは、企業や個人事業主などが、商品やサービスの日々の売買にあたって、販売や仕入などで関係する全ての相手方を指します。また、取引高が大きく、特に重要な先については、「大口取引先」や「主要取引先」などと呼んで区別することもあります。

例えば、メーカー(製造業者)の場合、部品の仕入先(製造業者・商社等)や、製品の販売先(製造業者・商社・卸売業者・個人等)が取引先に該当し、また卸業者の場合、商品の仕入先(製造業者・輸入先・上位卸業者等)や商品の販売先(下位卸売業者・流通業者等)が取引先となります。

・接待で取引先の部長の出身地にちなんだお店を選んだ
・他の取引先の開拓も進まず、赤字転落となってしまった
・各問屋とも既存の取引先に例年並みの数量を販売するのがやっとだった

仕入先の意味と用法

仕入先(しいれさき)は、商品や原材料などの仕入れをする相手方をいいます。これは、取引先に含まれる用語で、販売や製造のための商品や部品、原材料などを購入する相手方を指します。また、仕入先は、業種によってそれぞれ異なりますが、代表的なところとして、メーカー(製造業者)や商社、問屋などが挙げられます。

一般に仕入にあたって、経理面では、物品の仕入状況を記録する「仕入帳(仕入管理システム)」で管理して、仕入先に対して支払いを確実に行い、また購買面では、安定した調達と適切なコストの観点から、適宜、仕入先の見直しや新規開拓などを行うことが重要となります。

・大幅な値下げ要求に応じない仕入先との取引を停止した
・原材料の仕入先の選択肢が多く、割高な局面で他にシフトしやすい
・資金繰りが厳しくなり、仕入先への支払いが滞る事態となっている

販売先の意味と用法

販売先(はんばいさき)は、商品やサービスを購入してくれる相手方(顧客)をいいます。これは、取引先に含まれる用語で、売上や利益に貢献する相手方であり、特に重要な販売先は「得意先」と呼ばれることもあります。また、販売先は、業種によってそれぞれ異なり、ビジネスモデルにおいて、大きなカギとなります。

一般に販売にあたって、経理面では、物品・サービスの販売状況を記録する「売掛帳(売掛管理システム)」で管理して入金処理を確実に行い、また営業面では、販路の開拓や新規客の獲得、単価のアップなど、売上や利益の向上が常に重要となります。

・今期は主要販売先の自動車向けの需要が堅調に推移した
・セレクトショップも含め全国300店舗以上の販売先がある
・収穫量が少なく、スーパーなど大口の販売先を見つけにくい

得意先の意味と用法

得意先(とくいさき)は、いつもよく買ってくれる客やひいきにしてくれる客をいいます。これは、元々は、商家において、常に買ってくれる客や互いに気を許すことができる売込み相手を指しましたが、今日では、売上や利益に大きく貢献する重要な取引先(販売先)のことを指します。

一般に得意先は、企業にとって、安定したビジネス(商売)を行う上で大切な存在であり、日々の取引において、細心の注意や気配りが必要となります。そのため、得意先に対しては、通常、安心して仕事を任せられる中堅以上の社員に担当させることが多いです。

・仕事でミスをして、得意先に謝りに行った
・卸部門における得意先の低迷の影響などから業績が悪化
・主力得意先の大手ゼネコンとは強いパイプを有していた

顧客の意味と用法

顧客(こきゃく)は、商品やサービスを販売する対象をいいます。これは、狭義には、商品やサービスを購入してくれる相手方である「販売先」と同義で、一方で広義には、既に購入してくれた既存客だけでなく、購入の可能性のある潜在客まで含めて捉えられます。また、顧客の集合体は、「市場(マーケット)」と呼ばれており、その対象によって、消費財市場や生産財市場、流通市場などに区分されます。

一般にマーケティングにおいて、顧客の獲得と取引の深耕にあたっては、(1)潜在客を集める、(2)潜在客を見込客に引き上げる、(3)見込客を新規客に引き上げる、(4)新規客を既存客(リピート客)に育てることが大切であると言われており、企業が事業を拡大する上で、自社にあった仕組みを作ることが重要となります。

・顧客の視点や要望に応じたオーダーメードの商品を作っていく
・過剰なノルマを背景に、顧客の不利益になる契約を結んでいた
・チームを編成して顧客へのサポートやコンサルティングに当たる

クライアントの意味と用法

クライアント(client)は、英語で、依頼人や顧客のことをいいます。これは、日本においては、広告代理店やメディア、コンサルティング会社、弁護士、会計士、建築家、探偵、カウンセラーなど、受託業務を中心とする業界で使われており、通常、不特定多数ではなく、特定の相手を指すことがほとんどとなっています。

なお、コンピュータにおいて、「クライアント」と言った場合は、ネットワーク上で、サーバーに対して処理を依頼し、様々な機能やサービスなどを提供してもらうコンピュータやソフトウェアのことを指します。

・短い時間でクライアントの関心を喚起するプレゼン手法
・当時、クライアントから信頼を得て、忙しく働いていた
・結果として、クライアントにも満足いただける作品ができた

取引先と仕入先と販売先と得意先と顧客とクライアントの違い

最後に「取引先」と「仕入先」と「販売先」と「得意先」と「顧客」と「クライアント」の違いをざっくりとまとめると、以下のようになります。

・取引先:取引の相手方
・仕入先:商品や原材料などの仕入れをする相手方
・販売先:商品やサービスを購入してくれる相手方
・得意先:重要な販売先
・顧客:商品やサービスを販売する対象
・クライアント:依頼人や顧客

◎「取引先」は、「仕入先」や「販売先」、「得意先」、「顧客」、「クライアント」を包括した用語である。

◎「仕入先」の反対が「販売先」で、また販売先で重要なところが「得意先」である。

◎「得意先」と「販売先」と「クライアント」は、いずれも「顧客」であるが、一方で顧客には、潜在客から既存客までを含む、幅広い概念もある。

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