一人と独りの違い

日常生活の中で、「ひとりランチ」や「おひとりさま」、「ひとりの時間」、「ひとり気を吐く」といった言い回しを聞くことがあります。これらの中に出てくる「ひとり」の漢字には、「一人」と「独り」の二つがありますが、どちらを書くかでニュアンスは異なってきます。

ここでは、「ひとり」と読む漢字である「一人」と「独り」について、その意味や用法、違いを簡単にまとめてみました。

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一人の意味と用法

一人は、「1人」とも表記され、 一個の人、人数が一名であることをいいます。これは、一名の人や自分だけを意味し、また「一人旅」や「一人息子」、「一人芝居」、「一人焼肉」、「一人暮らし」など、複合語でもよく用いられます。

一般に「ひとり」を「一人」と書く場合、人数面の視点が中心であり、感情面は特に含まれないことが多いです。

<一人の用例>

・基本的に一人で開発を行っている
・子どもは夜一人で出歩かない方が良い
・一人で何もかもやらないといけなかった

独りの意味と用法

独りは、単にその人しかいないこと、相手や仲間がいないこと、独身であること、他人の助けがないことなどをいいます。また、独りの「独」には、ひとり者、ただひとり、他をかえりみず自分だけで、といった意味があり、また「独」の意味を理解する上で、「独身」や「孤独」、「独学」、「独立」、「独占」、「独断」などの熟語は参考になるかと思います。

一般に「ひとり」を「独り」と書く場合、状況面の視点が中心であり、また「部屋に独りぼっち(寂しい)」や「独りで頑張る(何とかする)」など、文脈によってニュアンスが大きく異なってきます。

<独りの用例>

・あなたは決して独りではない
・たった独りで開業の準備にとりかかった
・自分の結婚で母が独りになってしまうことを案じた

一人と独りの違い

最後に「一人」と「独り」の違いをざっくりとまとめると、以下のようになります。

・一人:一個の人、人数が一名
・独り:相手や仲間がいないこと、他人の助けがないこと

◎「一人」は人数面の視点が中心なのに対して、「独り」は状況面の視点が中心である。

◎「一人」は文脈でニュアンスがあまり異ならないのに対して、「独り」は文脈でニュアンスが大きく異なる。なお、ニュアンスを曖昧にしたい場合は、「ひとり」の記載にするとよい。

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