代理店と取次店と販売店と特約店の違い

ビジネスにおいて、商品やサービスの販路の拡大は、事業を成長させる上で大きなカギとなっています。そういった中で、企業によっては「代理店」や「取次店」、「販売店」、「特約店」といったものを設けていますが、それぞれでどう違うのでしょうか?

ここでは、知っているようでいて意外と知らない、「代理店と取次店と販売店と特約店の違い」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

代理店とは

代理店(だいりてん)は、代理商の別称またはその店舗をいいます。これは、メーカーや商事会社などの特定の会社等の委託を受けて、その取引の代理を行う店や会社を指し、通常、相手先との間には代理契約を結び、相手先の名義で商品の売買を行い、その報酬として所定の手数料を受取る仕組みになっています。

一般に身近な代理店と言った場合、携帯ショップ(携帯電話販売代理店)や保険代理店など、商品やサービスを代理販売する「販売代理店」が挙げられ、営業(販促)から契約手続き、顧客フォローまで、一貫して請け負っています。

※代理商:商人のために、その平常の営業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その商人の使用人でないもの(商法第27条)。

取次店とは

取次店(とりつぎてん)は、顧客の注文を受けて、商品やサービスの取り次ぎをする店をいいます。これは、宅配やクリーニング、出版、新電力、レンタルサーバーなどで広く行われているもので、提供会社の商品やサービスを取り次ぐことが主要業務となっています。通常、店頭での顧客対応の業務は、取次店の責任となりますが、契約後の顧客フォローなどは、提供会社の責任となります。

例えば、宅配を利用する場合、コンビニなどが取次店となっており、コンビニなどに荷物の発送を取り次いでもらった後は、その荷物が相手先に到着するまでの責任は、宅配会社が負うことになります。

販売店とは

販売店(はんばいてん)は、売主から商品を仕入れ、顧客に販売する店をいいます。これは、売主(メーカーや卸売業者など)と販売店契約を結び、商品を売主から買って在庫を持ち、顧客に再販売する仕組みで、「販売価格-仕入価格」が販売店の収益となります。また、販売店の一種で、大量に商品を販売する小売店を「量販店」と呼ぶこともあります。

なお、販売店と同様、販売が付くものに「販売会社(販社)」がありますが、販社は、メーカー(製造業者)が、自社や系列会社の製品を販売するために設立した会社となっています。

特約店とは

特約店(とくやくてん)は、製造会社(メーカー)または販売会社(卸売業者)と特別な契約を結んだ販売店をいいます。これは、メーカーや卸売業者との間に、その取扱商品や販売地域、取引条件などについて、特別な契約を結んでいる業者をいい、具体的には、食品や飲料、家電、楽器、OA機器、産業機器、電子製品、住宅資材、石油製品など幅広い業界で利用されています。

一般に特約店制度は、メーカー等には、販路の確保や競争による値くずれ防止、貸倒れの回避などの利点があります(価格決定や広告宣伝、アフターサービスなどはメーカー等が行う)。その一方で、特約店には、商品の安定的な仕入れや一定の販売地域の独占、リベート等の販売奨励金などの利点がある半面、競合商品の取扱制限や販売目標の確保などが求められます。

代理店と取次店と販売店と特約店の違いは

最後に「代理店」と「取次店」と「販売店」と「特約店」の違いをざっくりとまとめると、以下のようになります。

・代理店:委託を受けて、その取引の代理を行う店
・取次店:商品やサービスの取り次ぎをする店
・販売店:売主から商品を仕入れ、顧客に販売する店
・特約店:特別な契約を結んだ販売店

◎収益面は、「代理店」と「取次店」は手数料、「販売店」と「特約店」は販売益(=販売価格-仕入価格)である。

◎「取次店」は商品・サービスを取り次ぐことで業務終了になるのに対して、「代理店」は販売後の顧客フォローまで行う。

◎「特約店」は「販売店」の一種で、通常の販売店に比べて優遇されるが、その分責任も大きい。

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