懐古と回顧の違い

長い人生の中で、時として、過去を振り返ることもあります。若い時は、前だけを見て生きることも多いですが、年を取ると共に、過ぎ去った時を思い起こすことも多いです。その際に懐古したり、回顧したりしますが、同じ「かいこ」と読む「懐古」と「回顧」で、どこか違うのでしょうか?

ここでは、知っているようでいて意外と知らない「懐古と回顧の違い」について、簡単にまとめてみました。

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懐古の意味と用法

懐古は、昔の事をなつかしく思うことをいいます。これは、心にいだく思いを意味する「懐(かい)」と、むかしを意味する「古(こ)」からなる用語で、日常的には、「あの頃は良かった!」と昔の事を肯定的に振り返ってみる場合に用いられます。

なお、過去を懐かしみ、現在よりも、過去の風潮や文化、人物などを優れたものとみなす思想(主義)を「懐古主義」と言います。

<懐古の用例>

・古き良き、昭和への懐古がテーマ
・本作は決して懐古の念や郷愁を誘うものではない
・この時期は卒業式を思い出し、懐古の情に浸ってしまう

回顧の意味と用法

回顧は、過ぎ去った事を思い起こすことをいいます。これは、 前の事を振り返るを意味する「回(かい)」と、思いめぐらすを意味する「顧(こ)」からなる用語で、日常的には、良くも悪くも、過去の事実を客観的に振り返ってみる場合に用いられます。

なお、過去の出来事について、関係者(当事者含む)が回想し、書き綴った記録を「回顧録(回想録)」と言います。

<回顧の用例>

・学生時代を回顧すると、本当に遊んでばかりいた
・デビューして50年、歌と共に歩んだ人生を回顧した
・先の大戦を回顧しながらも、国の在り方に危機感を抱いていた、

懐古と回顧の違い

最後に「懐古」と「回顧」の違いをざっくりとまとめると、以下のようになります。

・懐古:昔の事をなつかしく思うこと
・回顧:過ぎ去った事を思い起こすこと

◎「懐古」は昔の事を肯定的に振り返ってみる場合に用いられるのに対して、「回顧」は昔の事を客観的に振り返ってみる場合に用いられる。

◎「懐古」と「回顧」の概念は、複合語から認識すると分かりやすい。例えば、「懐古主義」とは言うが「回顧主義」とは言わず、「懐古趣味」とは言うが「回顧趣味」とは言わず、「回顧展」とは言うが「懐古展」とは言わず、また「回顧録」とは言うが「懐古録」とは言わない。

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