延期と延長と順延の違い

ビジネスやプライベートにおいて、「発売を延期する」や「期限の延長」、「雨天順延」といった言い回しを聞くことがあります。これらの中に出てくる「延期」と「延長」と「順延」は、どれも「延(えん)」が入る言葉で似た感じがしますが、一方でどこが違うのでしょうか?

ここでは、知っているようでいて意外と知らない、「延期と延長と順延の違い」について、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

延期の意味と用法

延期(えんき)は、決めた期日や期限を先に延ばすことをいいます。これは、のばすを意味する「延(えん)」と、決められた時点・日時を意味する「期(き)」からなる用語で、通常、スケジュール面において、予定の期日を後ろにする場合に用いられます。また、本用語は、公開延期や発売延期、支払延期、1週間延期、再延期など複合語でも用いられます。

一般に「延期」は、時間軸において、あることを、いつまでに行うのかを、はっきりと明示しなければならないため、必ず区切りが存在します。

<延期の用例>

・景気が低迷していることを理由に増税を延期した
・ロケットの打上げは、強風の影響で明日以降に延期された
・市況の悪化で年内に予定していたIPOを延期することになった

延長の意味と用法

延長(えんちょう)は、長さや期間などを延ばすことや伸ばした部分をいいます。これは、のばすを意味する「延(えん)」と、ながさを意味する「長(ちょう)」からなる用語で、通常、延ばすこと、延びること、またそのもの自体が延びる場合に用いられます。また、本用語は、延長戦や延長線上、延長12回、契約延長、総延長など複合語でも用いられます。

一般に「延長」は、延びる(延ばす)という基本的な意味以外にも、哲学の基本概念として、物体が空間を占める存在の様式という意味もあり、「延期」と比べて幅広く使われています。

<延長の用例>

・イベント期間中は、営業時間を2時間延長する
・法案を成立させるために会期を延長することになった
・政府は、定年を70歳まで延長する方針を打ち出している

順延の意味と用法

順延(じゅんえん)は、順繰りに期日を延ばしていくことをいいます。これは、物事の次第を意味する「順(じゅん)」と、時間が予定より長びくを意味する「延(えん)」からなる用語で、通常、何らかの理由により、予定の期日を翌日に順々にずらしていく場合に用いられます。また、本用語は、雨天順延や荒天順延、日没順延など複合語でも用いられます。

一般に「順延」は、広義には「延期」に含まれますが、順繰りに期日を延ばすという点が異なります。例えば、7月1日にイベントがあり、雨天順延と言った場合、7月1日が雨で中止となった場合、7月2日に延期され、また7月2日も雨で中止となった場合、7月3日に延期されるという予定になります。

<順延の用例>

・悪天候が続き、連日の競技順延となった
・初日が順延となった影響で、2日目も順延となる模様だ
・雨のため予定していた5試合のうち3試合の順延が決まった

延期と延長と順延の違い

最後に「延期」と「延長」と「順延」の違いをざっくりとまとめると、以下のようになります。

・延期:決めた期日や期限を先に延ばすこと
・延長:長さや期間などを延ばすこと
・順延:順繰りに期日を延ばしていくこと

◎「延期」は期日が延びるのに対して、「延長」はそのもの(長さ・期間等)が延びる。

◎「順延」は、広義には「延期」に含まれるが、通常、予定の期日を翌日に順々にずらしていく場合に用いられる。

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